副題:美は普遍的なものか?
授業概要
世界に、〈誰が見ても美しい絵画〉は存在するのでしょうか? また、〈誰が聞いても美しい音楽〉は存在するでしょうか? 芸術に関する美的判断においては、こうした普遍性が求められ、美しいものの法則性やパターンについて古来より研究されています。しかし実際には美的判断において、個人差・世代差・地域差などによる違いが生じることも少なくありません。美学という学問は、こうした意味での美の不確定性に常に晒され続けてきた、といえます。本授業ではこのことを前提として、美の感受や芸術理解の普遍性に関する多様な美学的テーマについて論じます。
具体的には、社会階級の差異と芸術嗜好の関係といったテーマのほか、何が芸術の価値を決定するのか?という問いに基づいた諸テーマを論じます。(詳細は、オンラインシラバスの授業計画を参照してください。)また、各回の授業ごとに質問や見解を書いたレヴューシートを提出していただくことで、なるべく対話形式に近い授業形態を模索したいと考えています。
授業の到達目標
美学の基本概念を習得し、「美」「趣味」「芸術」をめぐる根本問題の概要を理解することにより、美学を研究するための礎となる力を身につけることを到達目標とします。
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授業計画
第 1回] 導入(1)――感性を言葉にすること
[第 2回] 導入(2)――美学史概観
[第 3回] 美の根拠(1) 「美しい人」
[第 4回] 美の根拠(2) 美の倫理
[第 5回] 美の根拠(3) 「天才」
[第 6回] 美の根拠(4) ものが美しく見えるということ(カント/ニーチェ)
[第 7回] 趣味論(1) よい「趣味」とは何か(カント/ヒューム)
[第 8回] 趣味論(2) 「大衆の趣味」論(グリーンバーグ/ブルデュー/現代日本)
[第 9回] 「流行」と「伝統」をめぐる芸術の哲学(ニーチェ)
[第10回] 芸術の制度(1) 「アートワールド」(ディッキー/ダントー/村上隆)
[第11回] 芸術の制度(2) アートを語る力
[第12回] 芸術の制度(3) アートワールドの「外」で
[第13回] 芸術の制度(4) 芸術文化政策
[第14回] 芸術の制度(5) 芸術とナショナル・アイデンティティ
[第15回] まとめ
教科書
酒井紀幸・山本恵子『新版 美/学』(大学教育出版、2009年)
参考文献
教場にて指示します。
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